ズルくてもいいから抱きしめて。

「樹〜、姫乃さん来られたわよ。」

恐る恐る病室の中に入ると、そこにはベッドの上で寛ぐ樹さんがいた。

「あっ、姫乃!わざわざごめんな〜」

その暢気な態度を見て、私はホッとしてその場にへたり込んでしまい、気付いた時にはもう手遅れで、私の目から大粒の涙がポロポロと溢れ出ていた。

「あらあら、、、。私ちょっと飲み物買ってくるわね〜」

お母さんは気を遣ってくれ、そそくさと部屋を出て行った。

「姫乃、、、心配掛けてごめんな。支社の資料整理手伝ってて、脚立から落ちそうになった人庇ったら足やっちゃって。」

私が泣いてしまったものだから、樹さんは珍しくシュンとしていた。

「病院に来るまで不安で、、、本当に怖くて、、、それなのに、、、身内じゃないからって、、、すぐに会わせてもらえなくて、、、」

今回は会えたけど、これからもしまた同じようなことがあったら?

樹さんに何かあっても、私は“身内以外”だから会わせてもらえない。

もし“身内”だったら、、、
< 94 / 101 >

この作品をシェア

pagetop