夫婦未満ですが、子作りすることになりました

「神代さん。彼女ね、婚活パーティーでうまくいかなかったんだって。アドバイスしてあげてくれる?」

促された彼は面倒くさそうに私に目を移す。目線は顔と足もとを一応往復した。恥ずかしいけど、他人からの指摘でしか気づかないこともある。私は膝に手を置いてじっと耐えた。

「さあね。普通に恋愛すれば」

そう言われ、カッと目が開いた。ひどい! それができないから困っているのに。頭に血が昇って立ち上がりかけたところで、マスターがお水をくれる。

「まあまあ。なにか心当たりはないんですか? うまくいかない理由」

いったん落ち着いて席につき直し、マスターの質問にうなずいて答えた。

「ひとつはわかっています。一応、難関と呼ばれる大学を出ているので、学歴欄を見たとたんに敬遠されてしまいます」

「へえ! それはすごい。ちなみにどちらの大学ですか?」

興味を持ってくれたのはマスターだけで、神代さんは冷めた顔でショットグラスをあおっている。マスターに話すから聞いてくれなくていいもん。
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