夫婦未満ですが、子作りすることになりました
口で説明するよりわかりやすいだろうと考え、私は婚活パーティーで使ったプロフィールカードをバッグから取り出した。それをテーブルに、マスターの方へ向けて置く。
「N大学です」
「うわぁ、すごいですねぇ」
長ったらしく大学院まで書かれた学歴欄を律儀に読んでくれたマスターは、ほかの欄もフムフムとうなずきながら、目を通す。
「名前すごくかわいいね。凛子ちゃんっていうんだ」
久しぶりにちゃん付けで呼ばれ、それだけでもう酔いが回ってくる。そしてなぜか、神代さんもこっちを見た。
「凛子? 名字は?」
今まで無視していたのに、いきなり神代さんが質問してくる。突然すぎて答えられずにいると、代わりにマスターが「春川だって。春川凛子ちゃん」と答えた。神代さんは「春川凛子……」と復唱する。