夫婦未満ですが、子作りすることになりました
「この子、飴を舐めていたはずですよね? まさかそれを喉に詰まらせたんじゃ……?」
私が思い出してつぶやき、彼も「それだ」と同調してバンバンと彼女の背中を叩き始める。しばらくやってみたが全然出てこない。
「んっ…………ん……」
「意識はありますね。でも、呼吸ができてない」
私は現状を言葉にして確認した。男性は焦るばかりでいてもたってもいられない、という様子。
「誰か呼んでこよう!」
「ここが会場やフロントからどれだけ離れていると思ってるんですか。息ができず時間が経ったら死んじゃいますよ」
落ち着け。こういうときこそ、日頃から学んでいた知識を使うべきだ。私はハンドバッグにいつも持ち歩いている『救命救急の手引き』という冊子を取り出した。
「おいっ、なんだそれ」
「ここに、喉に詰まらせたものを取り除くハイムリック法のやり方が書いてあったはずなんです」
「早くしろ! 顔色が悪くなってきたぞ!」
彼は取り乱している。私がしっかりしなきゃ。いつものように、理屈っぽくて冷静な私になって。