シニアトポスト
「───正直、莉央と仲良くしてるのって莉乃と友達でいたいからだよねぇ」
廊下で部活の同級生が私の陰口を言っているのを耳にしてしまった時。偶然そこを通りがかった後輩の彼は、落ち込んでいた私に言ったのだった。
「俺は莉乃さんがいなくても莉央さんと仲良くしたいって思いますけどね」
「…お世辞ならいらないよ」
「お世辞じゃないです。双子だからって同じでいる必要なんかないし。莉央さんはそのままでいていいと思いますよ?わかってくれないならこっちから願い下げだって、言ってやればいいんです」
その言葉は、私が抱えていたもやもやを全部かっさらっていってくれた。
双子だからって同じで居る必要はない。
私はこのままでいい。
あまりにも軽率に。
だけど本能的に───私は彼を好きになった。
「莉央、最近なんかふわふわしてて可愛い」
好きな人がいることは、恥ずかしくて莉乃には言えなかった。
けれど、彼の言葉に救われてから、周りの目や陰口を以前ほど気にしなくなったし、莉乃に対して劣等感も湧かなくなった。
私は莉乃にはなれないし、彼女と同じスタートラインにすら立てていないのかもしれない。それでも、そんな私に『そのままの莉央で良い』と言ってくれる人がいる限り、私なりに生きて行こうと思えたのだ。