シニアトポスト
私は高校を卒業して、実家を離れ県外の大学に進学した。
莉乃は地元の大学を選んだので、生まれたときからずっと一緒に生きてきた莉乃と私はこの時初めて別々の道を進むことになった。
大学生になってからは、年に2回 地元に帰った時に会う程度で、彼女とはほとんど連絡を取り合わなくなった。拒絶するつもりがあったわけではない。ただなんとなく、自分から連絡して会いたいとは思えなかったのだ。
私の人見知りは高校の時より幾分か和らぎ、「私の放つ冷たい雰囲気に惹かれた」という少し変わった感性の男に告白をされ、付き合うことになった。
彼は私を受け入れてくれた。私を否定しない。
ありのままの私を好きだといってくれる。
そんな彼といるのは、嫌いではなかった。
彼と半同棲状態の生活が私の“普通”になり始めた頃、莉乃が、私の住む地域に旅行で来ることになった。
彼女の隣には、過去の私を救ってくれた初恋の相手 改め莉乃の彼氏の姿があった。
私も彼を知っているから久々に会ってもいいだろうと思ったのだろうか。
私があの時どんな気持ちで、生まれて初めての恋心を殺したか知らないから、こんなに無神経なことができるんだ、と思った。