シニアトポスト





怒ってる?私が?

…違う。過去の私は“人見知り”が原因で愛想がなかっただけだ。


何に対しても怒っていない。

世の中に不満を持ち始めたのは、莉乃が全部奪っていったから。
悩むことすらばかばかしくなったのも全部、私が欲しかったものを莉乃が持っていると知って諦めたから。




「莉乃と双子になんてなりたくなかった」

「…え?」

「そしたら、同じ人を好きになることなんてなかったかもしれないのにね」



───ああ、なんて醜いの。





「私、…莉乃のこと大っ嫌いだよ」




これが、私が彼女と交わした最期の会話になるなんて思いもしなかったから。


分かっていたら、私は感情全部押し殺して笑っていたかもしれない。
分かっていたら、感情に身を任せずにちゃんと話し合って和解しようとしたかもしれない。



───最期だと、分かっていたら。

正解の分からない問いの答えを求めることもなかった。



人は明日を当たり前と信じてやまない。

だから人は───言葉を大切にできないのだと思う。



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