造園家は御曹司に求婚される2
「今夜はここで二人きりの時間を過ごそう?明日のお昼頃までこの船は海の上だし、誰にも邪魔されない」

財前さんに抱き締められて、あたしは「暑苦しいからやめろ!」と恥ずかしくて行ってしまう。でも突然財前さんが離してくれることはなくて、あたしはただ胸をドキドキさせていた。

「あっ。綺麗……」

財前さんに抱き締められながらあたしが首を横に向けると、果てしなく広がる海が見えた。水平線の彼方に夕日が沈んでいこうとしている。

「財前さん!外の景色を見ようよ」

あたしがそう言うと、財前さんは「わかった」と言いながら離してくれた。正直、あのまま抱き締められていたら心がドキドキしすぎて壊れていたと思う。イケメンって罪だな。

スイートルームにはベランダが付いている。白い可愛らしいベランダだ。そこに財前さんと二人で出て、ぼんやりと海と夕日を眺め始めた。

「こうやってのんびりするのもいいかもね」

あたしはそう言い、潮風の心地よさに目を閉じる。植物しか普段は見ないから、海を見ていると不思議な感じになる。
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