最後の一夜が授けた奇跡
「もう一度消毒をしてからここから手を入れていいですよー。パパはわかりますよね?」
「はい」
まだ律樹がパパといわれることにも、私がママと呼ばれることにも慣れない。
でも、決して悪い気はせずむしろくすぐったいほどにうれしい。

私が消毒をすると律樹が保育器のすぐそばに車いすを進めてくれた。


真っ白な保育器の中でうつぶせになりすやすやと寝ている・・・小さな小さな天使・・・
おむつだけをしている天使は、気持ちよさそうに寝ている。

「かわいい・・・」
我慢していな涙はやっぱり簡単に流れてしまう。

「ありがとう・・・」
この世に生まれてくれてありがとう。

律樹と私を選んでくれてありがとう。

保育器の中に手を入れて、赤ちゃんに震える手で触れると、赤ちゃんはぴくぴくと動きながらちゃんと呼吸をしている。
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