最後の一夜が授けた奇跡
「ごめん・・・ごめんなさい・・・」
しゃくりあげながら泣いて、私は律樹に言う。

ごめんなさい・・・。

こんな私でごめんなさい。

弱い私で、バカな私で、ごめんなさい。

何度も何度も心でもささやく。

私が謝るごとに、律樹は抱きしめる手に力を込めた。






私は、抱きしめられながら、さよならを告げるその時が近づいていることを考えていた。
< 54 / 500 >

この作品をシェア

pagetop