最後の一夜が授けた奇跡
「季里がつらそうにしてたり、急に痩せたり、毎日顔色悪かったり・・・そういうの嫌なんだよ。」
「・・・」
「ちゃんと食べて、ちゃんと寝て、ちゃんと・・・」
「ごめん・・・」
私はこれ以上律樹の言葉を聞いていられず話をとめて謝る。

律樹の視線を感じていた。
その視線にはせつなさがいつも混じっていて、きっと私を見るだけで律樹はつらいんだって、私と同じで私の声を聞くだけで苦しいんだって・・・気づいてた。

だから離れる決断をしたんだよ。

「もうすぐで終わりだから」
「・・・」
私の言葉に、涙は出ていなくても、律樹は泣いているような表情になる。
「ごめんね。あと少しの辛抱だから。」
そしたら、本当にさようならだから。
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