最後の一夜が授けた奇跡
律樹は私の指を消毒して、絆創膏を貼ってくれた。
「ありがとう・・・」
そう言って律樹に触れられている手を離そうとすると、その手をもう一度律樹がつかんだ。

私の手をじっと見つめている律樹。

「・・・?」
急に真剣な顔で私の手を見ている律樹に、私は見つめられている手が急に熱くなるように感じた。

「・・・嫌なんだよ」
「え?」
「お前、何キロやせた?」
「ん?」
私の手から視線をあげて、私の目を見る律樹。

その表情にはもう険しさはない。

悲しみに満ちたせつない表情になっている。
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