紅一点
 

「っで、キャバって何だ?
おまえ、給金はどうしてた?」

重蔵が、ハオの私物から
売り物になりそうなモノを
物色しながら問う。

「勝手に売りモンにするな!
キャバって、…んん…っと、
私が居た店は、お触りとか
本番は別料金だった。
アレだ。要は、風俗の一種かな。」

ハオは、文化の違う
私たちに伝わるよう
言葉を選んでいる。

いや、ちょっと待って??
…風俗?!?!

あっけらかんと答える
ハオに、俺たちはギョッとする。

風俗店多角経営者の池田屋まで
目ん玉が落ちそうな程
瞳を見開いているじゃないか。

「…えっと…風俗って、
私が言うのもなんだけど…
好んで勤める所なのかしら…?」

スゴイ!池田屋を動揺させる
女の子なんて初めて見た!

…って、そんな場合じゃ
なかったな。

「んー。どうなんだろう?
時給がいいから、自ら
勤める人もいるんじゃない?
私は、半グレ組織に
斡旋されたんだよね。」

そう言って、遠い目をする。

「っつーか、給金は
どうしたんだって聞いてんだ。
話ブレてんだろ。
勘定帳らしきモノも
ねぇじゃねぇか。」
 
重蔵が本の様なモノを
仕分けながら、ハオに問う。

「ああ、それなら、
電子マネーでもらってる。
それを使う分だけ外貨を
経由して円建てに換金してた。

…って、なんでお前に、
金まで没収されなきゃ
なんないんだよ!
あのマネキンに、そこまでの
価値はないでしょう?」

ハオと重蔵が掴み合いの
喧嘩を始めた。


 
 
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