紅一点
「っで、コレが戦利品?」
客間の床半面にも満たない
荷物の量。両親は居ないって
言ってたけど…それにしても
私物が少ない。
「コレ、なんだ?」
重蔵が尋ねる。
異世界の旅を経て
多少は、仲良くなった様だ。
「ああ。ジャージっていうの。
それは万能だよ。
スポーツから寝間着、
部屋着、用途に富む。
私の一押しの着物。」
伸縮性に富んだ生地で
できた上着と下履。
ハオの服って、ほぼこれと
なんかゴージャスな
面積の少ない
ハレンチな着物だけ。
デザインは、まちまち。
なんか…迷彩柄って、ハオは
呼んでたけど…汚ったない色が
乱雑に配置された柄。
他は圧倒的に黒地が多い。
唯一の赤地は、身体の
両サイドにラインが施された
ジャージって着物で
白い3本線が劇的にダサい。
何なの?!コレ?!
ハオは、それがオシャレだって
言うけど…冗談かしら?
「ハオ、これ、なーに?」
池田屋が面積の少ない
くるぶしまである何かを
自分の肩からあてる。
「ああ、ソレ?
キャバドレス。」
…なにそれ?
池田屋が、鳩豆食らった
表情してるけど。
「んー。バイト用の制服って
いえばいいかな。」
「バイトって?」
「私は非合法な職場で非正規雇用、
社保未加入、時間制で働いてた。」
“本当は未成年不可だったから
歳サバよんでたんだよねぇ”
なんて、乾いた笑いをもらす
ハオと、池田屋の会話を
聞きながら、雅也が
コイツはマジで未成年か?
と、怪しんでいる。