紅一点
「ええ、本日のお客様は
ハオ様ですから。
お嬢様も同席されるのです。」
当然じゃないかという様に
女は俺に言う。
「ちょっと…太夫って、
最近じゃあ、オンナまで
客に取ってるのか?!」
うろたえて言えば
女中はシラけた目で
こちらを見る。
「そんなわけないでしょ?
女子会ですよ。女子会。
あの太夫が、初日から
客人を部屋に招くだなんて、
大枚はたいている他の客人に
示しがつかないでしょ?」
…それは、言えてる…
俺からですら、何回も通わせ
有金全部集金する様な
強者だったからな…
あの人は、心に住む
亡くなった恋人にしか
興味を示さないから
あんなふうに、男たちを
弄び続けられるんだって
昨夜、合点がいった。
「イヤイヤ、そうじゃ
ないわよ。未成年が
遊郭で遊ぶなんて
マセすぎなのよっ!!」
「ダメですよ!旦那!
あんたも未成年で、
お客人デビューしたで
しょうが!覚えてますよ!」
太夫の部屋に向かおうとする
俺をオンナが腰に腕を巻きつけ
止めてくる。
「イヤーッ!アンタ
古株だからって、サラッと
個人情報を暴露しないでよ!」
襖の取手に手をかけ、
ガチャガチャしていると
襖に隙間が開いて、
ハオが器用に顔半分を見せた。