俺様上司との不確かな関係~好きになっちゃダメですか?~
どれくらい経っただろう。

静かに読んでいた風波部長が日記を閉じた。

表情は変えない。
けれど、もう1つそこにあったアルバムを見たとき、風波部長の顔が突然歪んだ。

そこに映るおばあちゃんと娘2人。

満面の笑みで2人の娘を抱く母の顔は、何よりも2人への愛を物語っていた。

そして、風波部長の目を涙が伝った。

次第にそれは大粒のものになり、泣き声も加わって、それが嗚咽になり、止まらなくなった。

いつもクールビューティな風波部長の顔がぐしゃぐしゃになっていた。

わたしはどうすることもできず、呆然と見つめているしかなかった。

風波部長をここまで泣かせるなんて…さすがに予想はしてなかったもの…。

けど、裏を返せばそれだけ風波部長にとってこの問題は重要だったってことだ。
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