俺様上司との不確かな関係~好きになっちゃダメですか?~
「姉とは結局そのときだけだった。姉が結婚したことも子どもを産んだことも、亡くなったことも、何一つ知らなかった。風波家はそういう家だったのよ。古い名家を気取っていてね。」

そしてふっと笑った。

「笑うでしょ。いまどき。双子が生まれて縁起悪いなんていつの時代だっていう話よ。」

そしておはしを持った。

「あなたも食べなさい。せっかくのおいしいご飯が。」

そしてパクパクと口にはこびはじめた。

「わたしは厳格に育てられた。結局父は結婚しなかったからわたしを跡継ぎとして男子並みの教育を受けさせて…そしてわたしもそれに応えて厳格に育った。」

わたしもお箸を持って食べることにした。

「けど限界はくるのよ。女性として恋愛もしたかったのにさせてもらえなかったから。そんなとき、青海に出会ったの。彼は打ちひしがれていた。最愛の女性に先立たれ、残された乳飲み子と途方にくれていたの。わたしは彼と、彼の息子にひとめぼれしてしまった。はじめての恋だったの。」

そしてまたふっと笑った。

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