俺様上司との不確かな関係～好きになっちゃダメですか？～

「ダメだわ。これじゃもう外には出れない。目が腫れてぐしゃぐしゃだわね。」

そしてハンカチをとると笑った。

「いえ、すごくいい顔されてます。」

わたしなんかがこんなえらそうなことをいうべきじゃないとは思ったけど、風波部長は涙で目もはれてぐしゃぐしゃの顔はしていたけど、とても表情豊かな美しい顔だと思った。

風波部長はまたくしゃっといい顔で笑った。

と、突然ガヤガヤと個室の外が騒がしくなった。
何事かと思っていると、ガラッと扉が開いた。

「夏子。」

そこに立っていたのは青海社長だった。

「光太郎さん。」

わたしは深く頭をさげた。

「社長。お疲れ様です。」

社長はわたしと風波部長を交互に見て、なんとなくほっとした表情をした。

「もっと殺伐とした雰囲気を覚悟してきたんだが…？どうもそんなことはなさそうだな。」

そういいながら、風波部長の横に腰をおろした。
そこへまた扉が乱暴に開いた。

「結菜！」

「隼斗？」

入ってきた隼斗も全員を見下ろしてから、わたしの横にストンと座った。

「北斗から連絡が来た。お母さんと結菜が一緒にここに入るのを見たって社員がいるって。」

そこへひきつづき、北斗が入ってきた。
みなを見回して、隼斗の横に座った。

「もうやめてよね。家族喧嘩は。って雰囲気でもないか？」