こいつ、俺の嫁。ーAnother my wife storyー
赤くなっているであろう顔を隠すために膝に顔を埋めても、ジャージから彼の匂いがして逆効果だった。
「…そういや未来はどこの大学受けるんだ?」
そう聞かれて奴を見上げると私の持っている赤本に視線が向いていた。
「…原咲女子大学」
「原女って確か有名なパティシエが教師でいる大学だったよな?
未来、パティシエにでもなるのか?」
意外、とでも言うかのように目を丸くしている。
そう思うのも無理はないと思う。
事実、私が一番驚いているのだから。
料理とかお菓子作りとか興味なかったのに、あの時食べたパンケーキが美味しくてお菓子作りに興味を持ち始めた。
あの時のパンケーキというのはこいつと食べに行ったのではなく、あの後にこいつが作ってくれたパンケーキのこと。
キスされそうになったことからしばらく会うことはなくて、アドレスを消したことを忘れた頃に来た着信に出たら最悪なことに奴からだった。