こいつ、俺の嫁。ーAnother my wife storyー
「尋人さーん!トス打って~!」
「あいよ!今行く!」
頭の中で色々と考えていると成宮先輩が彼を呼ぶ声で我にかえった。
タオルで汗を拭いて立ち上がると成宮先輩たちがいる所へ歩いていった。
…かと思ったら数歩歩いてまた私のところへ戻ってきた。
タオル持っていくのかと思い赤本を置いて隣に無造作に置かれたタオルを手に取った。
「はい、これで……」
「未来からパワーもらってくの忘れてたわ」
そう言って気付けば奴の両手で頬を挟まれ、額が私のにくっついていた。
抵抗する間もなくすぐにコートに戻っていった。
一瞬のことだったけど、それでも私をまっすぐに見て微笑んだ表情が頭から離れない。
こんなことされちゃ勉強に集中できないじゃんか馬鹿。