【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
朔夜さんが受け入れてくれる綺麗な身体ではない事、とっくに知っていた。 見下ろす智樹さんの表情が苦しく歪んでいくばかりで、壊れていく時計を止める術も知らないまま
だって、この人だって私を愛してなんかいない。 なのにどうして、時々そんな切ない瞳で私を見つめるの――?
「このまま、まりあを縛り付けて置く事なんか出来ないって分かっている」
その日も私を抱き終わった後、ベッドの中で智樹さんは言った。
「それでも、君と――」
こちらを向いた智樹さんの動きが止まる。 私の指を手に取り、そこに優しいキスをゆっくりと落とした。
そして熱っぽい瞳を向ける。
「本当に家庭を築けたならば、いいのに…」
「智樹さん…」
「君と…もしも俺達の間に子供が出来たら
そしてこの家で幸せに暮らせたら、それはどんな幸せなのだろう。
…馬鹿だな、俺は…。そんなの叶う訳ないって分かってるのに…」
この時から、智樹さんはとても優しく私を抱くようになった。
そしてあの彼の口からこんな言葉が出てくる様になるなんて…。
「君には酷い事ばかりしている。 こんな事を言う資格がないのは知っている…」
その背中が消えそうに小さく見えた。 自分の方からその背中に抱き着くのは初めてだった。 どうして自分でもこんな行動を取ってしまったのか、理解出来なかった。
けれど掴んでいないと、その背中がどこかに消えてしまいそうだった。