【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~

椅子に座って再び歌い出すと、智樹さんはゆっくりと目を閉じて
次に聴こえてきたのは、安らかな寝息だった。

すまない、と言った言葉が印象的だった。一体彼は何を背負い、誰に許しを乞うていたのだろう。

―――――

それからの日常に何か特別な変化があった訳じゃない。

私は相変わらず横屋敷の家に囚われたままだったし、智樹さんも相変わらず忙しそうで家を空けることも多かった。

悠人さんと朔夜さんと会う事は禁止されたまま、館の中庭から見える桜の木はいつの間にか花が満開になっていた。鮮やかな薄紅の嵐が目の前の光景を染め上げていく。

智樹さんは、少し優しくなったかもしれない。 と、いうか出会った頃の優しい彼に少しだけ戻ったというのだろうか。

「まりあ…」

時間があれば、昼夜問わず智樹さんは私を相変わらず抱いた。
けれど私の名前を呼ぶことが多くなった気がする。 

「んッ…」

「まりあ…、まりあ…」

向き合って合わさる体。指と指を絡めて、智樹さんはそっと私の唇にキスを落とす。

この人の事なんてちっとも愛していないのに、襲い掛かる快楽に抗う事はいつも出来なくて、こうやって流されてばかり。


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