転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
 もともとの素養があったとはいえ、訓練を始めてまだひと月。自分だけではなく、男の子にまでスキルの効能を広げ、二回も爆発を起こした。
爆発は火属性の魔術に分類されるのだけれど、今回は見様見真似だ。たぶん、魔力の制御にも思いきりムラがあっただろう。

(でも、こんなところで倒れるわけにはいかないし)

 そう思ってしまうのは、たぶん前世からの刷り込みだ。公爵家の娘としても、人前でみっともないところを見せるわけにはいかないのだ。

「――アイリーシャ?」

 うつむいていたら、男の子は気分が悪いのに気付いたらしい。心配そうな顔で、こちらをのぞきこんできた。

「あ、やっぱりだめかも」

 最期に覚えているのは、その言葉。
 そのままぷつりとアイリーシャの意識は途絶えた。

 ◇ ◇ ◇



 目を覚ました時には、自分の部屋にいた。

(……これ、私の部屋の天井だわ)

 まだ、頭がぼうっとする。

「アイリーシャ、ああ、よかった――!」

 側に付き添っていたらしい母の声に、兄達も次から次へと飛び込んでくる。
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