腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
それでも私は理人くんを忘れられなかった。
初めての憧れ。初恋だもの。

1年に一度、クリスマスミサでしか会えないけど、歳を追うごとに大人っぽくなっていく理人くんに会えるのを心待ちにしていた。

早く、早く大きくなりたかった。

そしてやっと私も中学部へ進学。
その時、5歳離れた理人くんは高校3年生になっていた。
校舎は繋がっているけど、やっぱり遠くて、そんなに会えるわけではない。
それでも理人くんの噂は耳にする。
高等部の生徒会長と副会長は付き合っている…と。
高等部の生徒会長は理人くん。
そう。
いつの間にか、理人くんの隣には公私に渡ってパートナーである、六車凛子(むぐるまりんこ)さんがいた。
サラサラの長い黒髪が美しいクールビューティー。
聡明で、誰もが憧れる女性。

……間に合わなかった……

一生懸命勉強して、皆んなのリーダーになって、必死で自分磨きをして大きくなったんだよ。
やっとの思いで、中学部に上がって来たの。
それなのに、同じ土俵に立つことも出来なかった。

せめて、もう少し早く生まれていたら……。
グズグズして、中々プロポーズしなかったという過去のお父さんを、この時ばかりは恨んだ。
お父さんがもっと早くプロポーズしていたら、私ももっと早く生まれたのに!
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