私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「ちゃんと見ないと治療出来ないでしょう?私に全て委ねてください」
胸や腹部に傷はなかったが、背中には無数の傷があって思わず顔を歪めた。
ひとつひとつの傷は深くないが、ガラスの欠片がまだ残っていて痛々しい。
出血もかなりしていて襦袢は血だらけだった。
「この傷……かなり痛かったのでは?」
撫子の背中にそっと触れると、彼女はビクッとする。
きっと俺に肌を見られて緊張しているんだな。
だが、見なければ治療出来ないのだから仕方がない。
「……ちょっとだけ」
彼女は俺に怒られると思ったのか、気まずそうにボソッと答える。
「お願いですから、痩せ我慢しないでください。あなたが倒れそうになった時、寿命が縮みました」
これは注意ではなくお願いだ。
俺にとっての一番の恐怖は撫子がこの世からいなくなること。
彼女を守るためならなんだってする。
手拭いで背中の血を拭い、彼女の背中に手をかざす。
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