私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
血塗れの現場を人に見られたら、学校は大騒ぎになるだろう。
「ああ。俺の式神に処理させた。今は洋裁室に一滴の血もないはずだ。まあ、洋裁の先生が犠牲者としても、ただの失踪ってことで国家警察は片付けるだろうね」
国家警察は神隠しの事件をあまり深追いしない。
四大宗家のひとつの不知火家の当主が政治家で、国家警察を手中に収めていて神隠し事件は捜査しないよう圧力をかけているからだ。
同じ四大宗家の者として、隼人は不知火家が国を支配しようと画策しているのをよく思っていないのだろう。
四大宗家を統率していた天月家が断絶して以来、不知火家は好き勝手やっている。
「だろうな。だが、今は国家警察を責める時じゃない。隼人、これから赤鬼が封印されてた魔最湖に行くぞ」
彼にそう告げると驚いた顔をされた。
「え?尊とふたりで?男だけってつまらないなあ。それに、俺なんかおやつ食いたいんだよね」
変な理由をつけて逃げようとする彼の首根っこを掴んだ。
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