私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
8、鬼より厄介な敵 ー 尊side
水瀬家を出ると、俺は隼人と列車に乗って山奥にある湖に向かった。
「いやあ、なんか旅行気分だなあ。水瀬家の女中さんが作ってくれたこの弁当もうまいしさあ」
俺の対面の席に座り、車窓の風景を眺めながらお握りを口にする隼人。
「お前はいつでも楽しそうで羨ましいよ」
ある意味この状況ではしゃいでいられるこいつは大物。
ハーッと溜め息をつきながら窓の外の景色に目をやる。
「あれ?尊、弁当手をつけてないじゃん。食べないなら俺が食おうか?」
そう申し出る彼に弁当を差し出した。
「好きに食え。夕飯の時間にはまだ早いし、俺はそんなに腹が減ってない」
「わー、さんきゅ〜。尊いい奴だなあ」
弁当をもらってはしゃぐ隼人に皮肉を言う。
「お前はいつも脳内お花畑で羨ましいよ。ところで、お前は湖に行ったことはあるのか?」
実は俺は過去に是清さんと三つの封印を見て回ったことがある。
その時は何も異常はなかった。
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