私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
半分意識が朦朧としてきてそんな言葉を口に出す私の頭を彼は優しく撫でた。
「俺が一緒にいたいだけだよ」
尊は空気のようにいつも私のそばにいる。
雷が鳴った時、実の兄のではなく尊のベッドに潜り込んだのは、自分が一番頼れる存在が彼だったからだ。
兄はそんな私を見ていつも言っていた。
『撫子は尊なしでは生きられないね』
確かにそう思う。
結婚したら女は普通家を出ていく。
父や兄と離れて暮らすのは寂しいだろうけど、きっとそのうちその生活に慣れていくだろう。
だが、尊がいないのは……困る。
昨日彼がいなくてずっと不安だった。
そんなことを考えているうちに、優しい眠りに誘われた。



次の日の朝、目を開けると尊の顔がすぐそばにあってドキッとした。
彼はまだ目を瞑っていて私を抱きしめたまま眠っている。
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