私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
咄嗟に叫ぶが、尊は煌の動きを読んでいて彼の拳を手で受け止めた。
「ほお。私の拳を止めるとは褒めてやる」
ニヤリとする煌に対し尊も今のところは余裕の表情。
「それはどうも」
しばらく素手でふたりはやり合っているが、動きが速くて目で追えない。
隼人も琥珀くんは彼らの邪魔にならないよう状況を見守っている。
尊たちの戦いを見て紅玉くんが「あの黒い服の人凄いね」と囁くような声で言った。
「あの人が尊なの。私の大事な人……そして、私が誰よりも好きな人」
尊のことを話すと、彼は小さく相槌を打った。
「あの人が撫子さんの大事な人なんだね。煌さまの動きを読んでついていってる」
尊と煌が縦横無尽にこの空間を動き周り、あちこちで火花が飛び散っている。
時々ふたりが戦った衝撃で壁が崩れている。
見ている方は気が気じゃない。
神さま、どうか尊をお守りください。
手を組んで必死に祈る。
素手での戦いは決着がつかず、尊と煌は息を整えながら睨み合う。
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