私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
13、彼と思いが通じ合って……
「う……ん」
寝返りを打ってパッと目が覚めた。
いつもの私のベッド。
これは、夢ではない。
どうやら無事に戻って来たらしい。
他のみんなは無事なの?
ハッとして起き上がれば、尊がそばにいてにっこりと微笑んだ。
「おはようございます。撫子お嬢さま」
尊だけじゃない。
父や兄、隼人、琥珀くん、それに紅玉くんもいる。
みんながとびきりの笑顔で「おはよう」と私に挨拶した。
ああ、なんて素敵な朝なんだろう。
日差しも柔らかくて心地いい。
「おはよう」
みんな無事でよかった。
「お加減はどうですか?」
尊に体調を聞かれて即答した。
「私は元気よ。でも、尊たちは大丈夫なの?」
また尊が私を治癒してくれたのだろう。
剣で刺されたのに痛みが全くない。
今度ばかりは本当に死ぬかと思った。
尊もかなりの力を使ったのではないだろうか。
それに、隼人や琥珀くんだって煌の分身と戦って怪我をしたんじゃあ?
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