私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
琥珀はどこかつまらなそうに言う。
「あれは治療だが、撫子にしか使わない」
彼女の頬を撫でながらフッと笑みを浮かべる。
恋人とかいう言葉では表せない。
彼女は俺の全て。
治癒の術は、術者の命を削る。
だから撫子にもキツく使わないように言っている。
だが、撫子は俺にとって誰よりも大切な存在。
彼女のためなら自分の命も惜しくない。喜んで差し出す。
「要するに兄ちゃんにとって特別ってことか」
彼はクスッと笑いながら俺に誓った。
「おいらも姉ちゃんを守るよ」
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