私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
拳で尊が私の頭をぐりぐりする。
「い、痛いよ、尊〜。だって……車に轢かれて可哀想だったの!」
顔をしかめながら言い訳するが、彼は手を止めない。
「それで鬼に目をつけられたんじゃないですか?」
彼の追及にギクッとして、目を逸らした。
「そ、そんなの知らないわ」
「動揺しまくりですね。いいですか、もう決してその術は使ってはいけません」
彼が強い口調で言い渡すが納得いかない。
「尊は使ってるじゃないの」
「私は撫子お嬢さまにだけしか使いません。それに日頃から鍛錬しているので、治癒の術を使ってもあなたほどダメージは受けないのですよ」
せっかく治癒の術があるのだ。
使わなかったら何の意味もないじゃないの。
「でも、怪我をしているのに放っておけないでしょう?」
尊を説得しようとするが、彼は頑固だった。
「それで自分の身体を悪くするんですよ」
スーッと目を細めて冷たく言い放つ尊。
美形が怒ると凄く怖いが、私もここで引かなかった。
「その言葉聞き飽きたわ」
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