私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
だから、彼は心の綺麗な妖。
心から俺と撫子のことを思ってくれているのだろう。
妖すべてが悪ではない。
人間にだって悪いやつはいっぱいいる。
いや、人間の方がより危険なのかもしれない。
昔のことが頭を過ぎったその時、撫子の声が聞こえた。
「尊〜!」
その声にハッとして椅子から立ち上がれば、琥珀が怪訝な顔をする。
「尊、どうかしたのか?」
彼の質問には答えず、浴場に入り、撫子を探す。
琥珀が何も感じていないなら妖ではない。
だが、露天風呂の方から閃光が見えた。
彼女に張った結界が反応している。
撫子に何があった?
「うわあ!」いう男の叫び声がして急いで露天風呂に向かえば、彼女は手拭いを身体に当て風呂の中央に呆然とした様子で突っ立っていた。
そのそばで若い男が仰向けの状態で痙攣を起こし、風呂に沈んでいる。
男の顔には見覚えがあった。
是清さんについて宗家会議に出席した時に見た顔だ。
確か風磨家の当主の息子。
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