耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー

(だからって、あんなことするなんて……私のばかっ!)


薄い唇は柔らかく、ほんのりと温かかった。
重ねる前からそれを想像できるのは、もう何度もそうしているからなのだと今さらながら気付く。

彼とキスをするといつも、頭の中がふわふわとして何かが自分の中から溶けだしそうになる。
キスとはそんなものなのだろうか。それとも怜が特別なのだろうか。
他の人とキスをしたことがない自分には確かめようがない。

けれどそれで良い。誰かと比べようとは思わないし、それを知りたいとも思えない。

『キスするのは、俺とだけ。これからずっと』

そう約束した。
自分がキスをする相手は怜が最初で最後なのだ。


(はぁ~~、れいちゃん、今頃あきれてないかなぁ………)

自分がしでかしたことの羞恥に耐えきれず、彼の顔を見ずに飛び出してきた。

どんな顔をしていたのだろうか。
困ってた?それとも怒ってた?もしかしたらあきれられたかも———

堂々巡りの思考とともに、美寧の両足がくるくると回り続ける。
自分の思考に完全に没頭していた美寧は、後ろから近づく足音にまったく気付いていなかった。


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