耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
厚すぎないのに柔らかな下唇を数回食んで、名残惜しい気持ちを押し込めながら、ゆっくりと離れる。すると、美寧が怜にしがみ付いてきた。
「なんで……なんで前と違うの?」
ポツリと聞こえた言葉の意味が分からず訊き返すと、美寧は言いにくそうにしながらもはっきりと言った。
『前みたいな』キスはもうしないのか、と———
ハッとした。美寧にそれを訊ねられるとは思ってもみなかった。
怜に何かを言う隙を与えず美寧は言う。自分が上手にならないからしないのか、と。
言葉を探す怜に、美寧が声を震わせ言った。
「私があんまりこどもっぽいからがっかりし、」
「そんなことっ、」
思ったよりも荒々しい声が出て、瞬時に口を閉じる。
「あるわけない」と言い足した声が掠れた。
どうしてだろう。どうしたら彼女を悲しませずに済むのだろうか。
その潤んだ瞳を見れば罪悪感と同時に仄暗い疼きが胸の内に広がって、美寧の体を腕の中に閉じ込めるように抱きしめる。
「がっかりすることなんて、そんなことは絶対ありません」
がっかりなんてあり得ない。あるわけない。
こんなにも———
「あなたが愛しくて仕方がないのです」
そう。自分でも怖いくらいに。
「あなたのことになると俺はどんどん欲張りになる。深く口づければきっと、もっとあなたが欲しくなる。どこまでも愛したくなる———だけどそれじゃあまた、あなたを怖がらせてしまう……」