耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
見開いた怜の瞳に映るのは、美寧の閉じられた瞳。長い睫毛は小刻みに震え、ぴったりと押し付けられた唇からも小さな震えが伝わってくる。

美寧の方からキスをされるのはこれで二度目。
一度目は贈り物とお寿司をご馳走した時。『ありがとう』とお礼のキスを。

けれどそれは頬だった。
頬ですら怜にとっては十分すぎるほど嬉しいことで、あれが外でなければ自分はどうしていただろうか、と少し心配になっていたところだ。

それなのに今。
美寧は震える唇をじっと怜の唇に押しつけている。

怜は彼女の背中に回した手に力を込めたくなる気持ちを、ぐっと抑え込んだ。

怜の複雑な葛藤など知るよしもない美寧。ぎゅっと怜の首に回した両腕に力を込め、合わせた唇を更に押し付けてくる。

(まったく………どうしてやろうか、この子猫め)

愛しさと同時に湧き上がる劣情。
天秤のように傾き合う二つの感情が胸の中に渦巻いた時、合わさっている美寧の唇が動くのを感じた。

離れるのだろう。
無意識に詰めていた息をゆっくりと吐き出そうとしたその時、ぬるりと湿った感触が怜の唇を舐めた。

「っ、」

ハッと息を吸い込んだはずみで開いた唇から、美寧の舌が入ってきた。

怜の体がビクリと跳ねた。
まさか彼女がそんなことをするなんて———

怜の咥内に侵入した可愛い舌は、たどたどしく怜の舌先に触れるとすぐに退散した。

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