耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
『すごく大事にしている相手』
自分の中で何度も反芻する。
少し時間がかかったけれど、それは美寧の胸の一番底にストンと納まった。
『大事な相手』———それは自分のことを指している。
疑いようなくそう思えるほどに、美寧は怜に大事にされていた。
美寧の顔がみるみる赤くなっていく。
怜がそんなふうに大学で自分のことを話してくれているのかと思ったら、口の端が勝手にゆるゆると持ち上がって喜びが顔に出てしまう。
ゆるんだ顔を隠そうと口元を両手で覆い、うつむいて「そうなの……?」と口にすると、颯介は「そうなんだ」と頷く。
熱くなった頬を両手で押さえた時、颯介が言った。
「だからさ、えっと……その、がっかりしなくても大丈夫だから」
「え?」
何をかっがりすると言うのだろうか———
美寧はきょとんとし、長い睫毛をパタパタと瞬かせた。
「だから、……えっと、……『初恋は実らない』っていうだろ?だから、藤波先生がダメでもがっかりしないで!美寧ちゃんには美寧ちゃんの相応しい相手がいるんだよ」
美寧は両目を大きく見開いた。
(初恋は……実らない………?)
怜は美寧が初めて好きになった人。
(れいちゃんがダメでも、私に相応しい相手がいる………?)
いったい怜以外の誰が自分に相応しいと言うのだろう。
たとえそんな相手がいたとしても、そんなものは欲しくない。
自分が好きなのは後にも先にも怜一人だけなのに———