耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
黙り込んだ美寧に何を思ったのか、慌てた様子の颯介が言葉を続ける。
「大丈夫だよっ、美寧ちゃん!君はほら、……すごい、か、かわいいし」
尻すぼみな声が聞き取りづらく、最後のところがよく聞こえなくて「え、なに?」と訊き返すと、颯介が美寧の方に一歩近づく。
「初恋は片想いでも、君ならすぐに他にいい相手が出来ると、」
「他の人じゃダメっ!」
反射的に声を上げていた。
颯介が丸い瞳を見開いて固まっている。美寧の上げた声に驚いたのだろう。
けれど美寧はなりふり構わず続けた。
「他の人じゃダメなの。私は、私には………」
譲れない。どうしてもこれだけは。
両手をぎゅっと強く握り締める。
「他の人を好きになることなんて出来ないっ!!実らなくても、相応しくなくても……この気持ちは捨てたりしない」
「美寧ちゃん………」
戸惑ったように呼び掛ける颯介が、美寧の方へ歩み寄る。
「僕じゃダメかな………」
「え?」
「僕、君とは初めて会った気がしなくて……どこかで会ったような気がして仕方なくて……ああでも、そんなことは関係ないんだ。僕は君を一目見た時から———」
美寧に向かって颯介が手を伸ばす。
その指先があと少しで美寧の肩に触れる直前———
「何をしているのですか」
背中から聞こえた声に、振り返った。