耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
(あれ、今日はもう閉店にするって、さっき………)
ソファー席のご婦人たちが帰って行った後、『今日はもう閉店にする』とマスターに言われて美寧がドアに【準備中—Closed—】の札を掛けた。
それを思い出しながらドアの方を見た美寧の目に、焦げ茶色のふわふわとしたものが目に入った。
「あっ!」
ついさっき思い描いた騎士が、開いたドアから入ってきたのだ。
「アンジュ、修ちゃん」
杏奈の声に視線を上に上げると、アンジュのすぐ後ろからあの時の男性が入ってくる。
「あっ!」
美寧が声を上げると、その男性が美寧を見た。
「あっ、あの時の!」
ついさっき聞いた言葉をもう一度聞く。
驚いている彼の後ろから「修平君、どうしたの?」という声がする。
この声は、と美寧が思った時、一歩中に進んだ修平の後ろから着物姿の女性が入ってきた。
上品な藤鼠の着物。肩から裾にかけて描かれた浅黄の流れるような模様と色とりどりの花々。
黒髪をシニヨンにまとめたその人は、華やかかつ上品な着物に負けないくらい、貫禄のある美を放っていた。
「わわわ~っ!すっごく素敵です、奥さん!!」
目を輝かせて美寧がそう言った途端、怜を除くその場の全員が一斉に美寧を見た。
「え、……私、今何か変なことを言いましたか?」
目を見張った四人に食い入るように見つめられたじろぐ美寧。すると隣から怜が静かに言った。
「奥さん……だったのですね、気付きませんでした」
ソファー席のご婦人たちが帰って行った後、『今日はもう閉店にする』とマスターに言われて美寧がドアに【準備中—Closed—】の札を掛けた。
それを思い出しながらドアの方を見た美寧の目に、焦げ茶色のふわふわとしたものが目に入った。
「あっ!」
ついさっき思い描いた騎士が、開いたドアから入ってきたのだ。
「アンジュ、修ちゃん」
杏奈の声に視線を上に上げると、アンジュのすぐ後ろからあの時の男性が入ってくる。
「あっ!」
美寧が声を上げると、その男性が美寧を見た。
「あっ、あの時の!」
ついさっき聞いた言葉をもう一度聞く。
驚いている彼の後ろから「修平君、どうしたの?」という声がする。
この声は、と美寧が思った時、一歩中に進んだ修平の後ろから着物姿の女性が入ってきた。
上品な藤鼠の着物。肩から裾にかけて描かれた浅黄の流れるような模様と色とりどりの花々。
黒髪をシニヨンにまとめたその人は、華やかかつ上品な着物に負けないくらい、貫禄のある美を放っていた。
「わわわ~っ!すっごく素敵です、奥さん!!」
目を輝かせて美寧がそう言った途端、怜を除くその場の全員が一斉に美寧を見た。
「え、……私、今何か変なことを言いましたか?」
目を見張った四人に食い入るように見つめられたじろぐ美寧。すると隣から怜が静かに言った。
「奥さん……だったのですね、気付きませんでした」