耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
***


大学(しごと)に行きたくないな………」

「えっ!?」

思いも寄らない怜の発言に、美寧は思い切り目を丸くした。そんな台詞、今まで一度だって彼の口から聞いたことがない。

つい今しがたまで、美寧は布団の中で濃厚なキスに翻弄されていた。
やっとのことで唇を離された後、息の上がった美寧を抱きしめながら怜が言った言葉がそれだった。

「ど、どうかしたの?具合でも悪いの、れいちゃん!?」

「具合………そうですね」

「ええっ!」

極限まで瞳を大きく見開いた美寧。

「ど、どうしよう。お薬持ってこようか?あっ、お腹が痛いの?それとも頭!?」

「薬は要りません」

「えっ!もしかして薬じゃダメなやつ!?びょ、病院行く?あっ、涼香先生に訊いてみたほうが、」

「ミネ」

怜は布団の中であたふたと右往左往する美寧を呼び止めると、「大丈夫です」と言う。

「でも……」

心配のあまり、潤み始めた美寧の瞳。
怜はふっと短い息を吐いて微苦笑を浮かべ、「よもや仕事に行きたくなくなる日が来るとは……」と言い、愉快(おかし)そうに「くくっ」と笑う。そして、心配そうに見上げている美寧の瞳に唇を落とし、溜まった雫をペロリと舐めた。

「ぅにゃっ」

「恋の病につける薬はないんですよ、ミネ」


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