耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
***
「「いただきます」」
二人分の朝食の並んだテーブルに向かい合って、いつものように一緒に手を合わせ声に出して言う。
布団から起き出した後、美寧はいったん自室に帰った。
着替えを済ませてから顔を洗い、キッチンへと足を運ぶと、既にエプロンを着けた怜がやかんを火にかけているところだった。
それから一緒に、恒例のお弁当作りをした。
今日は、美寧はアルバイトでまかないが出る為、お弁当は怜だけ。
怜のお弁当に入れるおにぎりは美寧が握った。ラップに包んで握るからお米が手につく心配はない。
少しいびつな丸になったおにぎり見つめ「ごめんね……」と肩を下げる美寧に、怜は「とても美味しそうです」と嬉しそうにランチバックの中に入れていた。
弁当作りと同時進行で朝食も準備する。
最近美寧はお弁当作りに少し余裕が出来てきたので、手が空いたら朝食の準備も手伝うようになった。
そうして作った朝食が、美寧と怜の間に並べられている。
小松菜とハムが入ったキッシュ風オムレツは、箸で割るとふわりと湯気が上がる。
中に混ぜたピザ用チーズがとろりと溶け出すのを、垂らさないよう気を付けながら口に入れた。
「おいしい~~!」
片手で頬を押さえながら言った美寧に、怜が微笑む。
「卵を割るのはもう完璧ですね」
「そうかな……」
怜に褒めれ、美寧が「えへへ」とはにかむ。
最初の頃、割ろうとした卵を潰しかけていたが、今日は欠片を入れることなく、三つの卵を綺麗に割ることが出来た。
キッシュ風オムレツは、具材のすべてをボウルの中で混ぜ合わせてからフライパンで焼くだけだ。
焼き加減とひっくり返す時のコツを怜に教わりながら、美寧はなんとか失敗することなく作ることが出来た。
スープマグの取っ手を持ち、ふぅっと冷ましながら口をつける。
野菜の旨みが溶けだした熱々のコンソメスープは寒い朝にピッタリ。
昨日美寧が【ベーカリー小川】で買ってきておいた“米粉ロールパン”を手に取りながら、怜が言った。
「そういえば、次の土曜日は、仕事になってしまいました」
「えっ!!」
思いのほか大きく驚いた美寧に、怜が「なにかありましたか?」と訊ねる。
美寧はコクコクと上下に頭を振ると、手に持っていたスープマグを置き口を開いた。
「昨日、杏ちゃんに会って、その時に、土曜日はマスターのお誕生日だって聞いて……」
「マスターのお誕生日……」
「うん。……それでラプワールでお祝いをするから、私もれいちゃんと一緒に是非どうぞって誘われてて……」
「そうだったのですか……」
あごに手を当てて考え込むように黙った怜に、美寧は慌てて言う。
「でも、急だったし、お仕事なら……しょうがないよね」
そうは言いながらも、やっぱり残念さを隠しきれない美寧。肩を落とし眉は下がっている。
怜は少し考えた後言った。
「夕方、顔を出します」
「え?」
「会が終わってしまっていても、マスターにお祝いを届けに寄ろうと思います」
「いいの……?」
「はい。それよりも、せっかくのお祝いにちゃんと出席できず申し訳ありません、とミネから伝えて貰えますか?」
「うん、伝えておくね!ありがとうれいちゃん!」
明るい笑顔を浮かべながら「このピクルス大好き」と、怜が常備菜として漬けている“冬野菜とゆずのピクルス”に箸を伸ばした恋人に、怜はそっと目元をゆるませた。
「「いただきます」」
二人分の朝食の並んだテーブルに向かい合って、いつものように一緒に手を合わせ声に出して言う。
布団から起き出した後、美寧はいったん自室に帰った。
着替えを済ませてから顔を洗い、キッチンへと足を運ぶと、既にエプロンを着けた怜がやかんを火にかけているところだった。
それから一緒に、恒例のお弁当作りをした。
今日は、美寧はアルバイトでまかないが出る為、お弁当は怜だけ。
怜のお弁当に入れるおにぎりは美寧が握った。ラップに包んで握るからお米が手につく心配はない。
少しいびつな丸になったおにぎり見つめ「ごめんね……」と肩を下げる美寧に、怜は「とても美味しそうです」と嬉しそうにランチバックの中に入れていた。
弁当作りと同時進行で朝食も準備する。
最近美寧はお弁当作りに少し余裕が出来てきたので、手が空いたら朝食の準備も手伝うようになった。
そうして作った朝食が、美寧と怜の間に並べられている。
小松菜とハムが入ったキッシュ風オムレツは、箸で割るとふわりと湯気が上がる。
中に混ぜたピザ用チーズがとろりと溶け出すのを、垂らさないよう気を付けながら口に入れた。
「おいしい~~!」
片手で頬を押さえながら言った美寧に、怜が微笑む。
「卵を割るのはもう完璧ですね」
「そうかな……」
怜に褒めれ、美寧が「えへへ」とはにかむ。
最初の頃、割ろうとした卵を潰しかけていたが、今日は欠片を入れることなく、三つの卵を綺麗に割ることが出来た。
キッシュ風オムレツは、具材のすべてをボウルの中で混ぜ合わせてからフライパンで焼くだけだ。
焼き加減とひっくり返す時のコツを怜に教わりながら、美寧はなんとか失敗することなく作ることが出来た。
スープマグの取っ手を持ち、ふぅっと冷ましながら口をつける。
野菜の旨みが溶けだした熱々のコンソメスープは寒い朝にピッタリ。
昨日美寧が【ベーカリー小川】で買ってきておいた“米粉ロールパン”を手に取りながら、怜が言った。
「そういえば、次の土曜日は、仕事になってしまいました」
「えっ!!」
思いのほか大きく驚いた美寧に、怜が「なにかありましたか?」と訊ねる。
美寧はコクコクと上下に頭を振ると、手に持っていたスープマグを置き口を開いた。
「昨日、杏ちゃんに会って、その時に、土曜日はマスターのお誕生日だって聞いて……」
「マスターのお誕生日……」
「うん。……それでラプワールでお祝いをするから、私もれいちゃんと一緒に是非どうぞって誘われてて……」
「そうだったのですか……」
あごに手を当てて考え込むように黙った怜に、美寧は慌てて言う。
「でも、急だったし、お仕事なら……しょうがないよね」
そうは言いながらも、やっぱり残念さを隠しきれない美寧。肩を落とし眉は下がっている。
怜は少し考えた後言った。
「夕方、顔を出します」
「え?」
「会が終わってしまっていても、マスターにお祝いを届けに寄ろうと思います」
「いいの……?」
「はい。それよりも、せっかくのお祝いにちゃんと出席できず申し訳ありません、とミネから伝えて貰えますか?」
「うん、伝えておくね!ありがとうれいちゃん!」
明るい笑顔を浮かべながら「このピクルス大好き」と、怜が常備菜として漬けている“冬野菜とゆずのピクルス”に箸を伸ばした恋人に、怜はそっと目元をゆるませた。