耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
[3]*** (過激表現注意)


「れいちゃんのお誕生日っていつなの?」

リビングのソファーに座る怜の隣に腰を下ろした美寧が、開口一番にそう言った。

「前からずっと訊こうと思ってたの。今度こそ忘れないうちに、と思って」

前から気になっていたのに訊きそびれたままだったの、と美寧が続ける。
マスターの誕生日会に参加しているときから、今日は絶対に訊くと心に決めていたそうだ。


あの(・・)後、マスターの誕生日会に遅れて参加した怜は、マスターに誕生日のお祝いの言葉と用意していたプレゼントを渡し、マスターからのお礼のコーヒーを頂いた。

怜が選んだのは、今日の主役と同じ年のワイン。マスターの誕生日会のことを聞いてからすぐ、大学の近くにあるワインショップに頼んでおいたのだ。

怜たちの後から遅れて店に戻ってきた颯介は、マスターたちに『用事が出来たので僕はこれで』と帰って行った。

怜は頂いたコーヒーを飲みながら奥さんや杏奈の夫の修平と少し話をし、ほどなく美寧と一緒にラプワールを後にした。


「十二月二十五日です」

「えっ!」

怜の答えに、美寧は目尻が少しだけ上がった瞳をくるりと丸くした。見上げてくるその顔は、子猫のように可愛らしい。

「十二月って……来月!?」

「ええ」

「しかも二十五日って……もう一か月後だよね?」

「ええ。一か月と二日ですね」

「あっ、その日って……クリスマス!!」

「はい」

「もっと早く聞いておけばよかったぁ~!……れいちゃん!お誕生日に何か欲しいものある?」

「欲しいものですか……?」

「うん……あっ!でも、今からだと大したものは用意できないかもしれないのだけど………」

「特にこれと言うものは思いつかないのですが……」

「そっかぁ……あっでも、欲しい物思いついたらすぐに教えてね?」

「はい。……ですが、俺はミネがくれるものならなんでも嬉しいですよ?」

「ほんと?」

「はい」

しっかりと頷くと、美寧は怜を見上げていた顔を正面に戻し、合わせた両手を口元に当て「う~ん……」と唸る。

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