耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー

「ソファーへどうぞ」

腕を解かれた後、昼食を取るために部屋のソファーを勧められて初めて、美寧は【藤波准教授室】の全貌を目にした。

決して広くはないけれど、狭くもない部屋。
奥にある窓ガラスは大きくて、たっぷりと陽射しが入ってくるせいか、今は半分までブランインドが下りている。

美寧の目が引き付けられたのは、両壁につけられた本棚だ。
天井まで届くそれには、幾つもの分厚い本やファイルが所狭しと並んでいる。その本棚に挟まれる並びで、デスクトップモニターが乗った横長のデスクとチェアが置かれていた。

「すごいね……」

ぐるりと部屋を見まわして目を丸くした美寧に、怜は「そうですか?」と言い、ドア付近に並べられた応接セットにさりげなく彼女を誘導すると、怜は小さな冷蔵庫の上にラックから急須とカップを取り出し、ポットからお湯を入れた。

「どうぞ。ルイボスティです」

「ありがとう、れいちゃん」

冷たい飲み物は水筒の中にまだ入っているけれど、食事の時は暖かい飲み物を飲むのが、二人の中での決まりごとのようなものだ。冷え性の美寧に対する怜の気遣いなのだ。

「そうだ、ミネ。マスターから頂いたデザートを冷蔵庫に入れておきましょうか?」

「そうだった!」

怜に言われてやっとデザートの存在を思い出した。
帆布バッグの中を漁って、マスターからもらった保冷バッグを出す。ファスナーを開けると、保冷材は溶けてしまっていたけれど、まだ瓶はひんやりしていた。

「良かった……(ぬる)くはなってないみたい」

ほっと肩を撫でおろした美寧は、「お願いします」と怜にそれを渡した。


温かいルイボスティを飲みながら、ミネと怜は応接セットのソファーに並んでお弁当を食べた。

今朝二人で作ったお弁当には、混ぜ込みご飯のおにぎり、うずらの煮玉子、ジャーマン里芋、ほうれん草の胡麻和え、ミニトマト、が所狭しと詰められている。ウィンナーは一体どうやったのか、ペンギンになっていた。

美寧が作ったのは、焼き鮭と菜っ葉を混ぜたおにぎり。そして、ほうれん草のごま和え。
ごま和えはもう何回か作ったので、作り方をちゃんと覚えた。作ってみて初めて、砂糖を気持ち多めに入れて甘めにするのが好きだと気が付いた。

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