耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
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航にもらった練習用の毛糸を編み終えて少し自信がついた美寧は、昨日からやっと怜の誕生日のマフラーに取り掛かった。
航が教えてくれたのは“ゴム編み”という編み方で、初心者にも簡単にできるもの。
最初は難しいと思ったけれど、彼が言った通り、すぐにコツを掴んでスイスイ編めるようになってきた。そうなると俄然楽しくなってくる。
さっきもずっとマフラーを編んでいた。
怜が帰ってくる前にちゃんと自室の見えないところにしまっておいた。こっそり編んで彼の誕生日に渡そうと、美寧は心ひそかに決めている。怜は喜んでくれるだろうか。
そうして美寧は新しいことに打ち込むことで、怜が家にいない寂しさを紛らわせていたのだった。
(そうだっ!れいちゃんがご飯を食べる時に、私も一緒に温かいのを飲もう!)
今日はまだ怜の帰りは早い方。怜が夕食を取る時に自分も温かい飲物を用意して、久々にゆっくりとおしゃべりがしたいと思った。
食器棚にティポットと茶葉を取りに行く。怜も食後に飲むかもと思い、食後に合う茶葉を選んでいる時にハッとした。
「あっ!シチュー!」
コンロの前から離れる時は必ず火を消すようにと怜に言われていたのを思い出して、慌てて消しに戻る。幸い弱火だったシチューは焦げることなくちょうど良く温まっていた。
ホッと肩を撫でおろした美寧は、今度は落ち着いてお茶の準備に取り掛かった。
しばらくすると、ガラガラという音が玄関の方から聞こえてきた。
「あっ、」
音に反応して顔を上げた美寧。小走りで玄関につながる扉に向かう。
キッチンから飛び出すように玄関に行くと、ちょうど怜が上がり框に上がってくるところだった。
「おかえりなさいっ!」
言いながら怜の胸に飛び込むように抱き着く。
頬に触れた怜のコートが驚くほど冷たいことにハッとなって顔を上げた。
「お外すごく寒かったよね?シチュー温めてあるからすぐに食べれるよ?あ、お風呂が先の方がいいかな。風邪ひいたらいけないし。れいちゃんがお風呂に入ってる間に私がご飯の準備、」
「ミネ———」
柔らかに呼ばれて、美寧は言葉を一旦止める。
すると、怜が涼やかな瞳を細めて言った。
「ただいま帰りました」
その言葉が嬉しくて、美寧の顔が笑顔になる。
「おかえりなさい、れいちゃん。お疲れさま」
もう一度そう返すと、怜の顔が降りてくる。
美寧はそっと瞳を閉じた。
航にもらった練習用の毛糸を編み終えて少し自信がついた美寧は、昨日からやっと怜の誕生日のマフラーに取り掛かった。
航が教えてくれたのは“ゴム編み”という編み方で、初心者にも簡単にできるもの。
最初は難しいと思ったけれど、彼が言った通り、すぐにコツを掴んでスイスイ編めるようになってきた。そうなると俄然楽しくなってくる。
さっきもずっとマフラーを編んでいた。
怜が帰ってくる前にちゃんと自室の見えないところにしまっておいた。こっそり編んで彼の誕生日に渡そうと、美寧は心ひそかに決めている。怜は喜んでくれるだろうか。
そうして美寧は新しいことに打ち込むことで、怜が家にいない寂しさを紛らわせていたのだった。
(そうだっ!れいちゃんがご飯を食べる時に、私も一緒に温かいのを飲もう!)
今日はまだ怜の帰りは早い方。怜が夕食を取る時に自分も温かい飲物を用意して、久々にゆっくりとおしゃべりがしたいと思った。
食器棚にティポットと茶葉を取りに行く。怜も食後に飲むかもと思い、食後に合う茶葉を選んでいる時にハッとした。
「あっ!シチュー!」
コンロの前から離れる時は必ず火を消すようにと怜に言われていたのを思い出して、慌てて消しに戻る。幸い弱火だったシチューは焦げることなくちょうど良く温まっていた。
ホッと肩を撫でおろした美寧は、今度は落ち着いてお茶の準備に取り掛かった。
しばらくすると、ガラガラという音が玄関の方から聞こえてきた。
「あっ、」
音に反応して顔を上げた美寧。小走りで玄関につながる扉に向かう。
キッチンから飛び出すように玄関に行くと、ちょうど怜が上がり框に上がってくるところだった。
「おかえりなさいっ!」
言いながら怜の胸に飛び込むように抱き着く。
頬に触れた怜のコートが驚くほど冷たいことにハッとなって顔を上げた。
「お外すごく寒かったよね?シチュー温めてあるからすぐに食べれるよ?あ、お風呂が先の方がいいかな。風邪ひいたらいけないし。れいちゃんがお風呂に入ってる間に私がご飯の準備、」
「ミネ———」
柔らかに呼ばれて、美寧は言葉を一旦止める。
すると、怜が涼やかな瞳を細めて言った。
「ただいま帰りました」
その言葉が嬉しくて、美寧の顔が笑顔になる。
「おかえりなさい、れいちゃん。お疲れさま」
もう一度そう返すと、怜の顔が降りてくる。
美寧はそっと瞳を閉じた。