耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「もう少し自分の魅力を自覚してほしいものです。でないと、俺の心臓がいくつあっても足りません」

「隣の席の彼は、あなたに見惚れっぱなしで、講義はまったく上の空でしたね」

「今日の講義の題材で後期末試験を作ろうか……」

ぽんぽんと立て続けに怜から放たれた台詞の数々に、美寧は丸くした目を(しばた)かせた。なんて言っていいのか分からない。もう少し分かりやすく説明してもらおうと思い、「えっと……れいちゃん?」と口にした時、怜の指がさっきと同じ襟元をスッと撫でた。

「ここも……こんなに空いているなら、何か羽織っていてもらわないと……」

「ん、」

肌をくすぐる感覚に、思わず短く声が漏れた。いつもと違う“優しさ以外の何か”が、美寧の背中をぞくりとさせる。

「所有印をつけるような無粋な真似はしたくないのですが……」

(しょゆういん??)

突然出てきた『所有印』というワードがまったく意味不明で、美寧が首を傾げた時、美寧の顔を覗き込んでいた怜が少し俯いた。

柔らかなダークブラウンの髪に喉元をくすぐられ、思わず「くすぐったい」と言いながら顔を逸らせた次の瞬間、首元に柔らかくて湿った感覚を感じた。

「あっ、」

ぞくっとした感覚が走って、反射的に両手で押し返そうとした。けれど、怜の体はびくともしない。膝の上で抱きかかえられているから、逃げ場もない。


「あっ、や、……んっ~」

ちゅうっ、と音を立てて首筋に吸い付かれ、ぞくりとする感覚に身を捩る。押し返そうとした手でギュッと目の前の何かを握ったのは分かっていたが、それが怜の白衣だと気付く余裕はない。

怜の唇が少しずつ場所を変えながら、美寧の首元をなぞっていく。触れられた場所が熱くなる。

「ちょ、と、……まって、……れいちゃ」
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