耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「大だんさんに……杵島の大旦那さまに言われとったんだす……『当麻総一郎からのものはいっさい受けつけるな』て———」

「っ!」

「そやさかい、電話だけでなく贈り物のたぐいもいっさい……」

「贈り物……?」

「はい……大だんさん宛ての贈り物だけやなしに、いとさんへのもんまで……」

「えっ!?それって……お父さまから私宛ての贈り物を!?」

「お誕生日のプレゼントを始め、クリスマスや季節折々の品すべて………すべてを送り返すように指示を受けておったんだす……」

「そ、そんな………」

(うち)も、何度も大だんさんに申し上げたんだす、『それじゃいとさんがあまりにもお可哀そうやあらしまへんか。ただでさえご家族と離れ離れで、お寂しくしてはるのに』て。せやけど、大だんさんは最後まで首を縦には振ってくれはりまへんだした………うちは、いとさんがお寂しい思いをしてはるのを見てるだけしか出来ひんくて………ほんま、かんにんだす……かんにんな、いとさん………」

生まれた時からずっと家族のように美寧の世話を焼いてくれた歌寿子の涙声に、美寧はなにも返すことが出来ない。

自分が知らなかっただけで、祖父や父、兄や歌寿子にも、みんな色々な感情があった。
それなのにその中で自分だけが何も知らず、真綿のような優しさに甘え、のうのうと暮らしてきた。
美寧の胸がやるせなさで締めつけられる。
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