耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「嘘じゃない。おまえはまだ小さかったから覚えてないかもしれないが、夏休みに僕を連れて一緒にここに来た父さんは、家の中にも入れてもらえず追い返された」

「そ、そんな……」

「たぶんそれだけじゃない。電話も取り次いでもらえなかっただろう。僕がかけたときは祖父さんやおまえと話せたけど、父さんがかけた時は取り次いでもらえなかった」

「まさか……」

「そうでしょう?父さん」

聡臣が父の方に顔を向ける。美寧も父の顔を食い入るように見つめた。

「…それは………」

聡坊(あきぼん)さんの言わはるとおりだす」

突然部屋の向こう側からした声に、ソファーに座る全員がそちらに向く。

「歌寿子さん!」

「お話に割り込んでしもうて、えらいすんまへん。そやけど、黙っとられんかったんだす……」

ソファーのあるリビングスペースと廊下を挟んだところに、厨房を含めた作業場がある。きっと廊下の外まで美寧たちの話し声が届いていたのだろう。

「歌寿子さん……歌寿子さんは知っていたの?お父さまとおじいさまのこと………」

お嬢様(いとさん)……かんにんだす……」

「歌寿子さん!?」

美寧の前までやってきて、突然頭を下げた歌寿子に驚いた。歌寿子は頭を下げた。
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