耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
せめぎ合う二つの感情に板挟みになって、胸が苦しくてたまらなくなる。
思わず胸元の服をギュッと握りしめると、膝の上に残していた手にそっと温もりが重ねられた。
ハッとして隣を振り仰ぐ。
すると、柔らかく細められた瞳が優しく美寧を見つめていた。
(れいちゃん………)
重ねられた手から温もりが伝わってくる。
涼やかな瞳は語る。『そばにいる』———と。
(大丈夫……私は“あの頃”の自分じゃない。今度はちゃんと自分の気持ちを口に出来る)
膝の上の手に重なる怜の手の上に、更に自分の手を重ねぎゅっと握る。
美寧はまっすぐに顔を上げ、口を開いた。
「お父さま———」
美寧の声に父がゆっくりと顔を上げる。
目が合った。そこから視線を逸らすことなく、美寧は言った。
「黙っていなくなって、申し訳ありませんでした」
頭を下げた美寧は、そのままで話を続ける。
「私が勝手に家を出たせいで、お父さまにも顔合わせの相手にもご迷惑をおかけしたこと、なんと言ってお詫びしていいのか分かりませんが……本当に申し訳ありません」
「………」
「私、ずっとお父さまのお役に立ちたいと思っていました……お父さまが私に望むことがあれば、それに応えたいと思ってた………だけど———」
「ごめんなさい」と言って下げた頭を深くした美寧の手を、怜の手が強く握る。
その温もりと力強さに励まされ、美寧はゆっくりと顔を上げ、真正面から父の目を見た。
「お父さまの決めた相手に嫁ぐことは出来ません……私は、れいちゃんが……彼のことが好きなのっ!」
思わず胸元の服をギュッと握りしめると、膝の上に残していた手にそっと温もりが重ねられた。
ハッとして隣を振り仰ぐ。
すると、柔らかく細められた瞳が優しく美寧を見つめていた。
(れいちゃん………)
重ねられた手から温もりが伝わってくる。
涼やかな瞳は語る。『そばにいる』———と。
(大丈夫……私は“あの頃”の自分じゃない。今度はちゃんと自分の気持ちを口に出来る)
膝の上の手に重なる怜の手の上に、更に自分の手を重ねぎゅっと握る。
美寧はまっすぐに顔を上げ、口を開いた。
「お父さま———」
美寧の声に父がゆっくりと顔を上げる。
目が合った。そこから視線を逸らすことなく、美寧は言った。
「黙っていなくなって、申し訳ありませんでした」
頭を下げた美寧は、そのままで話を続ける。
「私が勝手に家を出たせいで、お父さまにも顔合わせの相手にもご迷惑をおかけしたこと、なんと言ってお詫びしていいのか分かりませんが……本当に申し訳ありません」
「………」
「私、ずっとお父さまのお役に立ちたいと思っていました……お父さまが私に望むことがあれば、それに応えたいと思ってた………だけど———」
「ごめんなさい」と言って下げた頭を深くした美寧の手を、怜の手が強く握る。
その温もりと力強さに励まされ、美寧はゆっくりと顔を上げ、真正面から父の目を見た。
「お父さまの決めた相手に嫁ぐことは出来ません……私は、れいちゃんが……彼のことが好きなのっ!」