耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「い…たいの……?」

「え?」

「れい…ちゃんも、痛い……?」

美寧がそう訊くと、いっそう眉を寄せた怜が、「俺は大丈夫」と答える。

「でも……く、くるしそう………」

美寧はシーツを握りしめていた右手をゆっくり持ち上げると、怜の頬に当てた。

「れいちゃんがくるしいと、わたしもくるしいよ……れいちゃんがつらいのとわたしもつらい……」

一度「はぁっ」と息をつき、痛みを逃がす。怜が止まっているから新たな痛みは生まれないけれど、それでもやっぱりじんじんと痛む。
けれど、美寧はそれを(こら)え、怜の瞳を見上げて言った。

「だから、れいちゃんも、いたい…とか、つらいとか、……ちゃんとおしえて……ね」

最後まで言い終わった時、怜の瞳が大きく歪められた。

「あなたは……、こんなときまでっ」

怜が美寧の涙を指で拭う。涙で滲む視界の向こうで、怜の瞳が細められる。
美寧には、彼の方が泣いているように見えた。

もう片方の手も、怜の頬に添える。男性にしては小さな顔。さらに小さな美寧の手のひらには収まり切れないその両頬を、大事に包むようにして。

「わたしの、ぜんぶ、……ちゃんと、うけとって……笑顔だけ、じゃなくて……涙も……わたしの、もってるもの、ぜんぶ、あげる……だから、」

美寧は涙で潤んだ瞳を細め、微笑んだ。

「だから、こわがらないで。……わたしを、うけいれて———怜」

大きく見開かれた怜の瞳から、ひとしずく、涙がこぼれ落ちた。






【第十七話 了】 最終話につづく。
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