耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「あなたは日増しに綺麗になっていく。うっかり目を離して、また変な虫に寄って来られたら困ります」

「虫………」

「これは勘違いする(やから)が現れないようにする“予防策”です。ですから、本当は仕事中もずっと着けていて欲しかったのですが……」

「………」

「こればっかりは仕方ないですよね、別の方法を考えましょう」

そう言った怜が、後日立てた別の“予防策”に、美寧が驚かされたのは、また別のお話。


「颯介くん、頑張ってるかなぁ………」

話の流れで彼のことを思い出し、美寧はついポツリとこぼした。

「………そうですね。ユズキに任せておけば大丈夫ですよ」

「そうだね………涼香先生だもんね、」

颯介に対して複雑な思いが残るままの美寧は、ふうっと息をついた。

神谷颯介は、あれからラプワールのアルバイトをやめた。

『本当は直接君に謝りたかったけれど、きっと君は僕の顔を見るもの嫌だろうから———』

渡された手紙にそう書いてあった。その手紙を持ってきたのは、意外な人物だった。

その人によると、颯介はラプワールをすぐにやめたのではなく、美寧が熱を出して寝込んでいる間は、いつもよりも多めにアルバイトに出ていたらしい。そうすることで、少しでも自分がしたことを償いたかったのかもしれない。

そしてその彼は今、【ゆずきこどもクリニック】でアルバイトをしている。
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